新しい世界への扉を押し開いた元Jリーガーたちの軌跡です
(OB紹介パンフレット「Off the Pitch」より)
学校・医療関連勤務
2003年「Off the Pitch」取材
啓新高等学校

平山大さん

ヒラヤマ・マサル
1972年、福井県生まれ。現役時代は DF。中央大学在学時に全日本選手権優勝、関東大学リーグ戦準優勝2回。95年、中央大学を卒業と同時に名古屋グランパスエイトに加入。J1通算16試合出場、1得点。97年、当時JFLの川崎フロンターレに移籍するも名古屋時代からのケガに苦しみ、通算2試合の出場にとどまる。翌シーズン終了後に引退。

厳しく接することで生徒も得るものがある
 まず教師であり、サッカー部のコーチは兼任。それが、平山さんの指導者としての姿勢だ。実際、大学時代にはJリーグ選手になるか、高校の教師になるかで迷った。教師になるのは、サッカーをやってからでも遅くないと結論を出した末に、名古屋グランパスエイトへの加入を決めたほどだ。
「出会ってきた先生がよかったなぁとつくづく思うんです。たとえ、たたかれるような厳しい指導をされても、実はその中に優しさがある。そんな出会いから、教師になりたいという思いをずっと持ち続けられたんですから」
「日常生活がだらしない子が、サッカーだけきちんとできるわけがないんです。いくら技術を指導しても身につかないんです」
県大会では、礼儀正しいチームとして啓新高校の名が挙がったほど。徹底した指導がうかがえるエピソードといえるだろう。

試合に勝つことが何よりも大事なこと
 平山さんの厳しい指導には、もう一つの理由がある。試合に勝ったときに得られる喜びは、何にもまして得難いもの。だが試合では一瞬の気持ちの弱さが負けにつながる。そんな現役時代の体験があるからこそ、精神面の大切さを強調する。
「だから、勝って満足するサッカーを目指してます。勝つためには相手がどんなチームでも自分たちで判断して対応できなければならない。もっと自立することを求めていきたいですね」
子供たちはなかなか人の話を聞かないし、態度もコロコロ変わる。最初のうちは流していたが、それでは身につかないので、練習方法はその場で決めたりする。
とはいえ、なかなか試合に勝てないときは、高校時代の恩師や監督に相談することもある。つい一から十まで聞きたくなるが、そこはグッと我慢するという。
「いろいろ学びたいですよ。でも選手に考えながらのプレーを指導しているのだから、指導者も自ら答えを探していくしかないんです」
日々苦しいことが多いが、そんなときは引退したときのことを思い出すという。
「現役時代も苦しいことが多かったけど、いざ引退したらものすごく寂しかった。だから定年を迎えたとき、同じように寂しいと思えるかどうか。指導者人生が成功だったかどうかはそのときわかる。先は長いですよ」
 
現在の仕事に就くまでの軌跡
91年 18歳 中央大学に入学し、教員免許取得を目指す
小学生のころから夢は教師になること。サッカー部の監督に限らずよい出会いがあった。プロは、小・中・高・大学の延長だと考えていた。
95年 23歳 ベンゲル監督と出会い、大きな影響を受ける
名古屋グランパスエイトに加入。アーセン・ベンゲル監督と出会い、その人間性に魅了された。指導者としてのみならず生き方の参考になった。
99年 27歳 中央大学に復学し、教員免許を取得
手違いにより教員免許未取得のまま大学を卒業したため、復学。1年間の在学中、中央大学と川崎フロンターレ ジュニアユースのコーチに。
00年 27歳 故郷である福井県の私立高校に赴任
社会科の非常勤講師(当時)として採用される。同時に、98年度に発足したばかりのサッカー部コーチに就任。

■一日のスケジュール

8:20 職員の朝礼
8:35-8:55 ショートホームルームなど
8:55-15:35 1限〜6限の授業
16:00-19:30 サッカー部の練習
19:30-21:00 残務整理

■高校サッカー部コーチになるポイント

  • 大学で教員免許を取得し、教諭として高校に赴任するのが、待遇面の不安がなく、学校の協力も得られやすい
  • サッカーのみでなく、生活面での指導も厳しくできること

■いい指導者と巡り合えた。その経験を生かしたい。

  • Q ―どんな授業を受け持っていますか?
  • 今年に限っていうと、1年生の2クラスに社会科を計4時限、ワープロ実習を2、3年生に計12時限。これが1週間に受け持つ単位数です。また3年生の1クラスの担任を受け持っているので、放課後に進路指導や面接の指導もします。進路の選択に迷う子や就職活動の結果に一喜一憂する子など、1、2年生と比べて接する機会が多いので、つき合いも深くなります。
  • Q ―教師の実際のイメージと違う点は?
  • 教壇に立っているイメージを思い浮かべる人が多いと思いますが、実際は生徒の成績処理をはじめとした、書類の作成時間のほうが長い。サッカー部の指導を終えた後も教員室に戻り、いつも午後9時ごろまでは雑務をこなしていますね。
  • Q ―苦労している点は?
  • 当初は生徒を怒らなければいけないのは苦痛でした。ただ、生徒たちは本気で怒ればきちんと伝わる。だから今では、楽しいときは思いっきり楽しませて、指導すべきところでは指導すればいいと、メリハリをつけた接し方をしています。自分が高校生だったころを思い出すと、先生がちょこっと横道にそれた話をされたときの授業が記憶に残っている。そんなときに聞いた話って忘れないものだと思うんです。だから自分も、生徒たちになるほどって思ってもらえるような、そんな印象に残る授業を心がけています