新しい世界への扉を押し開いた元Jリーガーたちの軌跡です
(OB紹介パンフレット「Off the Pitch」より)
企業経営・自営
困っているお客さんに対して常に考え、最善を尽くしています
岡田直彦
2007年5月取材
岡田直彦司法書士事務所 司法書士

岡田直彦さん

オカダ・ナオヒコ
1978年、群馬県生まれ。前橋育英高校時代には、U-16日本代表に選出されるなどMFとして活躍。同校卒業後、97年にコンサドーレ札幌に加入。在籍3年間での出場試合数は4。2000年に故郷の群馬県に戻り司法書士の資格取得に向け準備を開始。昼は勉強、夜はアルバイトという生活を続けながら3度目の挑戦で司法書士試験に合格。06年9月に岡田直彦司法書士事務所を開業した。
1日8〜9時間を受験勉強に費やした
 司法試験と並び国家資格の中でも最難関のひとつといわれるのが司法書士資格。年1回行われる試験の合格率はわずか2〜3%台と聞けば、その難しさがわかるだろう。
 コンサドーレ札幌を退団後、3度目の挑戦でこの試験に合格したのが岡田直彦さん。06年9月に地元群馬県前橋市で司法書士事務所を開業。現在は相続の相談や不動産登記などの書類作成・申請が主な業務。選手時代とは全く異なる環境や仕事に、戸惑いはないのだろうか。
 「いや、むしろ今のほうが自分には合っていると思いますよ(笑)。自分の能力で仕事をして、それに対する報酬をもらえ、お客さまに満足してもらえる。そういうところにやりがいを感じています。サッカーをやっていたときとは違い何から何まで全て自分でやらなければなりませんが、毎日充実しています」
 公式記録によると、在籍3シーズンで出場試合は4。だから戦力外通告はある程度予測していたため冷静に受け止めることができたという。
 ここから、岡田さんの「セカンドキャリア」がスタート。引退当初は大学でスポーツマネジメントや経営について勉強したいと考えていた。
 「大学受験は結果が出ませんでした。その後、資格を取って手に職をつけ、地に足のついた仕事をしようと司法書士の資格取得に目標を変更。司法書士ならば独立することもできますし、他の国家資格とちがい受験資格が不問だったのも、高卒の自分には魅力でした」
 資格のスクールに通い始めた岡田さん。できるだけ短期間での取得を目指し1日8〜9時間勉強を続けながら、夜はアルバイトという生活を続けた。しかし、年に一度しか行われない試験に続けて落ちてしまう。
 「1回目は明らかに勉強不足、2回目は勉強方法のミス。失敗を振り返り、3回目は自信をもって臨みました」こうして、05年に難関を突破。翌年には個人事務所を開業し、業務を開始した。
 「相談に来られる方は、何らかの問題を抱えています。そのような方々が早くふだんの生活に戻れるよう、要点をわかりやすく説明するなど、常に最善の方法を考えて全力を尽くすようにしています。今後は本業に加えて高校生がJリーグや社会に出る時に必要な法律の知識を伝えていくようなこともやってみたいです」

■独立を目指すあなたへ

まずは目の前のサッカーに全力投球
 サッカーをしっかりやることに注力してください。そうすれば、引退後の生活にも必ずつながると思います。一つのことを長く続けて結果を出すということは、なかなかできることではありません。選手の皆さんは、最低10年以上サッカーを続けて結果を出しているわけですから、引退後もきっと大丈夫だと思います。自信を持って「セカンドキャリア」を歩んでください。

岡田直彦さんの仕事風景
独立までの経緯
99年 21歳 コンサドーレ札幌から戦力外通告。現役生活に終止符
「思い出は練習場」というのが岡田さんの選手時代の感想だ。「自分の実力を冷静に分析してもう続けるのはムリかなと。後悔はなかったですね」。戦力外通告は冷静に受け止め、新しい道を歩もうと故郷の群馬県前橋市に戻る。
01年 22歳 資格スクールに入校し合格に向け猛勉強を開始
選手時代からスポーツマネジメントや経営、代理人に興味があったため大学で勉強しようと受験するがあえなく失敗。その後、「国家資格を取得して独立」という道を選択。司法書士の資格取得を目指し勉強を開始し、22歳で資格スクールに入校する。
04年 25歳 自信を持って試験に臨むも2回続けて不合格
司法書士試験は全11科目。「最初は科目が多すぎてまったくわかりませんでした」。2年目は週に4〜5回スクールに通い、毎日8〜9時間猛勉強。手ごたえを感じてはいたものの、試験直前で苦手科目の克服に重点を置いたところ裏目に出てしまう。
05年 26歳 司法書士試験に合格。翌年個人事務所を開業
資格取得後、7カ月間の研修を受け、06年9月に個人事務所を開業した。「司法書士には相続にまつわる不動産登記から会社設立に関する商業登記まで幅広い案件が持ち込まれます。私も相談に対し適切に対応できるよう勉強の毎日です」