新しい世界への扉を押し開いた元Jリーガーたちの軌跡です
(OB紹介パンフレット「Off the Pitch」より)
その他
司法修習生として1年4カ月の研修期間中 チームと選手の関係をよりハッピーにしたい!
代理人的立場で契約交渉を行う弁護士を目指す
八十祐治
2006年「Off the Pitch」取材
最高裁判所 司法研修所 第60期  司法修習生

八十祐治さん

ヤソ・ユウジ
1969年、大阪府生まれ。茨木高校から神戸大学経営学部へ進学。93年、ガンバ大阪に加入。その後、JFL時代の神戸、新潟に移籍。プロとして通産5年プレー後、横河電機(現・横河武蔵野FC)でアマチュアとして3年プレーし、2000年に選手生活を終える。横河電機の関連会社で営業を続けながら、教員免許取得。平行して、司法試験の勉強も開始。4度目の挑戦で見事合格。現在、司法修習生として研修中。
4年半の猛勉強を継続し、念願の司法試験に合格!
 2000年12月の天皇杯終了後に、選手生活にピリオドを打った八十祐治さん。人材派遣会社の営業を続けながら司法試験の勉強を開始した。
 「サッカーに向けていた情熱があれば、超難関の司法試験にも受かるかも。単純にそう考えたんです」
 大学時代、八十さんの専攻は経営学。法律の知識はほぼゼロ。そこで貯蓄をはたいて、2年間100万円かかる東京の予備校へ通うことに。
 「働きながら週3日、1回3時間の授業を受け、帰宅後も21時から翌3時まで毎日6時間の勉強。そして02年8月、勉強に専念するため会社を退職します。大阪へ戻ってからは、1日12時間を勉強時間に充てました。息抜きといえば、子供を保育園に送り迎えするついでに公園で一緒に遊ぶくらいでしたよ(笑)」
 ちなみに司法試験には一次試験と二次試験がある。大学を卒業していれば一次試験は免除。しかし二次試験では、択一試験、論文試験、口述試験の3つをクリアしなければならない。合格率は約3%。合格者の平均勉強年数は5・49年。いずれにせよ、超難関の資格試験なのだ。
 「私は4度目の挑戦で、昨年なんとか合格できました。今年の4月からは、大阪の司法研修所で修習生として研修中です。座学から始まり、その後、検察庁、裁判所、弁護士研修と1年4カ月続きます。最終的に試験を受け、裁判官、検察官、弁護士の選択ができるのですが、私が目指しているのは弁護士。やれることの幅も広いですし、自由な活動ができそうですから」
 しかし、研修修了後すぐに弁護士として独立するのは難しい。八十さんも、弁護士事務所に入所し、5〜10年は実務を学ぶつもりだという。最後に将来の夢を聞いてみた。
 「自分はサッカーに育ててもらったので、プロスポーツをサポートしていきたいという気持ちはあります。プロサッカー選手自身の権利意識がまだまだ乏しく、チームと選手間の契約にギャップがあると思うのです。両方がよりハッピーになれるための代理人的な活動はしていきたいです。また、引退後も選手が輝いていられるよう、年金制度などセカンドキャリア構築の手助けもしたい。そして、個人的には子供が大好きなので、子供たちが安全に、安心して暮らせる国づくりへの貢献もできるといいですね」

■独立を目指すあなたへ

今、Jリーグでの頑張りが、必ず将来のエネルギーに!
 司法試験に合格できたのは、サッカーをやっていたおかげ。僕は、司法試験より、プロサッカー選手になることのほうが難しいと思います。何かひとつのことを極めていく才能は本当にすごい。だから、今を大切に生きること、サッカーに集中することが大事です。最高のステージでの頑張りは、きっと引退後の新たな挑戦のエネルギーになるはずですから。

八十祐治さんの指導風景
独立までの経緯
98年 29歳 プロを引退しアマチュアに。横河電機でプレーを続ける
クラブからフロントへの誘いもあったが、プレーできる道を選択し、横河電機へ。関連会社でアルバイトしながら、入社2カ月後に正社員に。教員になってサッカー指導をという気持ちもあり、大学の通信教育受講を始める。02年に英語の教員免許を取得。
00年 31歳 天皇杯の敗退を機に選手引退。働きながら司法試験の挑戦を決意
選手引退後は関連会社である人材派遣の営業職に従事。サッカーではあまり成功しなかったので、もう一度何かに挑戦し成し遂げたいと、最難関の資格取得を決意する。01年から東京にある予備校に通い始める。
03年 33歳 司法試験受験に2年連続で失敗。勉強に専念するため会社を退職
「このままではいけない」と焦る。会社の仕事と受験勉強を同時に行うことは困難であると判断。2年間の予備校通学も終了。8月末に会社を退職し、司法試験の勉強に専念することに。地元大阪に戻り、毎日12時間の勉強を開始。
05年 36歳 4度目の挑戦でついに合格。弁護士への道が開いた
難関を突破し、ついに司法試験合格。06年4月から、大阪の司法研修所に通い始めた。取材時の9月は、検察庁での研修期間中。この後、裁判所、弁護士事務所での研修が待っている。念願の弁護士バッジを手にするのは、来年9月ごろだとか。

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