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(108)Small is Beautiful!
 1973年、石油危機という世界経済の大転換期を迎えたとき、一人のドイツ人E・F・シューマッハーは、著書『Small is Beautiful』(訳書:講談社学術文庫)の中で、「人間は、小さいものである。だから、小さいことは、すばらしいことだ。」と、これから先の人間中心の生き方を提言した。当初、彼が描いた本のタイトルは、『Home Comers』(地元派)だったという。その考えは、ホームタウンのあり方にもあてはまる。

今年2月、米国プロフットボールの王座を決める第45回スーパーボールで、グリーンベイ・パッカーズが14季ぶり4度目の優勝を飾った。日本の報道では、米国のプロスポーツのニックネーム(パッカーズ)だけが紹介されることが多い。肝心のホームタウンがどこであるか伝わらない。そこはどんな町だろうかという好奇心につながらない。グリーンベイの町やクラブのことを、米国のプロスポーツ事情に詳しい仙台大学副学長のマーティ・キーナート氏から伺った。優勝のわずか2カ月前のことである。
米国4大メジャースポーツのホームタウンは、NFL(アメフト)32都市、大リーグ(野球)30都市、NBA(バスケット)30都市、NHL(アイスホッケー)30都市と、延べ122都市にのぼる。この中で最も規模の小さい町が、パッカーズの地元グリーンベイ市である。ウィスコンシン州にある人口10万人の町をホームタウンとするパッカーズは、リーグ優勝を最多の13回、全米チャンピオン4回を誇る名門クラブであった。

 市の人口の約7割にあたる72,928人収容のスタジアム:ランボー・フィールドのチケットは、1960年以来50年間ずっと完売が続いているという。したがって、シーズンチケットには長蛇の列。ウェイティング・リストには約8万人の名前が記され、念願のチケットを手に入れるまでに平均30年以上かかるらしい。申込時に必要な預託金は、自分や現在のためではなく、子や孫への未来のための贈り物として支払われている。
人気のわけは、4大メジャープロスポーツで唯一市民に支えられているクラブだから。ソシオ制度で有名なバルセロナのように大都市ではない。どこにでもある小さな町の住民が、全員参加の11万人を超す市民株主となれば、立派にチームを成長させられる証しである。

 由布院に暮す我が師の中谷健太郎さんは、"町のあり様"についてこう語る。
「小さいから、身近に暖かい関係が生まれる。」
「小さいから、個性的な価値を生み出せる。」
「小さいから、大きな資本を必要としない。」
ホームタウンに求められるのは、広さではない。小さくても、確かなコア(核)の存在だ。

傍士 銑太 [ プロフィール ]