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  ・マッチコミッショナーとは
ゲームを安全・確実に進行させるための調整役



ゲームを安全・確実に、そして 楽しく進行させるための影の調整役。
Jリーグのひとつひとつの試合の質を高めるために尽力するマッチコミッショナー。一般にはあまり知られていないが、その試合開催における責任は大きい。いわば黒子的存在であるその役割を、Jリーグマッチコミッショナー委員会、千田 進委員長へのインタビューを交えてリポートする。

●選ばれし者、マッチコミッショナー
 観客にとって、ゲームは必ず予定の競技場で、予定通りの時刻に開始されるものと決まっている。そしてひとたびゲームが始まれば、当然のごとくチームとともに歓喜と焦燥を共有し、楽しいひとときを過ごす。
 しかし試合を運営する側には、感動と興奮に満ちた時間を演出するための大きな責任がある。その当事者は四者。一つは試合を主催するホームクラブ。二つめは言うまでもなく選手・監督である。三つめは試合をジャッジする審判。そして四番目の責任者が、公式の立会人であるマッチコミッショナーである。
 マッチコミッショナーは、Jリーグ、JFLの試合、また、1種でも社会人や大学生、2種の高校生、3種の中学生の大会では、全国大会など日本サッカー協会が指定した大会に派遣されている。
 Jリーグのマッチコミッショナーの選出にあたっては、まずマッチコミッショナー委員会で選考された候補者を実行委員会が推薦、理事会でも承認し、最後にチェアマンが任命、というプロセスを取る。資格条件として1.Jリーグの理念に対する理解があること、2.競技規則に対する正しい理解があること、3.試合運営に対する知識があり、試合実施要項に精通していること、4.サッカー発展のために建設的な意見を持っていること、5.マッチコミッショナー業務に対して積極的な姿勢があること、6.社会的地位があり、チームに対する説得力があること、7.年齢が65歳以下であること、があげられている。
 また、元日本代表監督もしくは選手(10試合以上出場)経験者、元JSL・JFL監督もしくは選手(30試合以上出場)経験者、元国際審判員もしくは1級審判経験者、有識者といったことも定められている。現在Jリーグには約50人のコミッショナーが登録されている。
●すべては観客のために
 一般のサポーターにはあまり知られていない存在だが、「チェアマンに代わる各試合のお目付役」という千田氏の言葉どおり、試合開催におけるマッチコミッショナーの果たす役割は大きい。
 まず試合会場へは、開始2時間前に到着。台風や雷など天候不順による試合への影響、さらにピッチの状態や附帯設備のトラブルの有無を確認する。万が一、試合開催に支障があった場合には、主審を主体にホームクラブの実行委員と協議の上、試合の中止、中断を決定する。以前、雷のため試合が43分間中断したことがあったが、その試合のマッチコミッショナーを務めていたのが千田氏である。その際は雷雲の状況などを即座に調べ、場内放送によりパニックを防ぎ、さらに警備員に指示し、観客を速やかに避難させることで事無きを得た。
試合全体を見渡せるポジション(席)を確保して、試合内容や審判のジャッジやサポーターの動線をチェックする。
 次に監督、審判、チームの運営担当、実行委員との試合進行のための打ち合わせ、場内の警備体制の確認、試合中の選手のプレーや審判のジャッジのチェック、そして、クラブ関係者にフェアプレーの重要性を説く。終了後は観客の退場までを確認し、報告書にまとめる。この報告書を申し送ることで、次回の試合における指示事項が明確になり、安全な試合運営を継続することができるようになるのだ。
 マッチコミッショナーはJリーグの理念であるE日本サッカーの向上Fを具現化する機能を持っています。私たちは各試合を客観的に観察し、検証している。報告書は運営∞競技∞観客≠フ3つについてそれぞれ細かいチェック項目を設け、それを定量化してサッカーの向上に役立てています。そういう我々の目をもっと利用してほしいし、またPRしていきたいとも考えています。観客はすばらしいサッカーの感動を求めているのですから」(千田氏)。

マッチコミッショナー 試合当日の主な任務・チェック項目


■120分前
・競技規則、試合実施要項、マッチコミッショナー報告書等の書類を携帯し、競技場に到着
■90分前の確認事項
(1)審判員の氏名
(2)試合メンバー表
(3)両チームのユニフォームの色と広告内容
(4)警備員および係員の配置と役割
(5)カメラマンなどのピッチ内への進入防止
(6)発煙筒、花火、爆竹などの使用防止
(7)公式記録用の時計との時刻合わせ
■80分前
・主審、副審とともに起こり得る問題に関して討議
・ピッチ、および附帯設備の合同点検
■70分前
・両クラブ実行委員、運営担当、監督および審判員同席のもと試合について討議し、良いゲームができるように意見交換を行う
・クラブ関係者にフェアプレイの重要性を強調し、審判員への批判や中傷を言わないように注意する
■60分前
・観客席の警備体制をチェック
■10分前
・競技場全体を見渡せる席に着席


■キックオフ
・時間を厳守させる(ただし、テレビ・ラジオの生放送があり、局側から要請があった場合は、5分以内の遅延に限って認める)
・試合中は選手のプレーや、審判のジャッジをチェック(審判員が見逃した出来事に関しては、このコメントがもっとも重視されるため、メモを取ることが義務づけられている)
・アシスタントと連携しながら、カメラマンのポジションの確認、観客席の安全性とマナーの確認を行う
■ハーフタイム
・必要があれば、審判員や両クラブの責任者に指示を与える


・選手、審判員が更衣室に戻り、観客が競技場を立ち去るまで席を立たずにそのまま残っている
・審判員と、試合中の出来事について検証する
・必要ならば、各チームの監督等と試合中の出来事について討議
・ケガをした選手の状態を確認
・退場や警告を受けた選手の本人の確認、審判コメントを集める
・試合内容を確認し公式記録用紙に署名する
・24時間以内にマッチコミッショナー報告書を提出する
※試合中に退場(警告2回による退場を含む)、もしくはトラブルがあった場合は直ちにチェアマンあてに緊急報告書をFAXする
千田 進 (ちだ・すすむ)
PROFILE
Jリーグマッチコミッショナー委員長。1937年生まれ。宮城県出身。中央大学法学部卒。大学在学中3年連続して大学選手権優勝。日本鋼管時代は監督として天皇杯優勝(82年)の経験を持つ。現在エヌケーセキュリティー(株)代表取締役社長
 
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