押されぎみながらも松本山雅は鋭い攻撃を繰り出し、前半12分にFW柿本が先制、後半27分にはDF阿部が2点目を決めて浦和を突き放した。1万4494人のファンで埋まった松本平広域運動公園総合球技場「アルウィン」は、熱狂の渦に包まれた。
松本山雅は1965年創立という歴史のあるクラブ。75年にスタートした北信越リーグで35年間もプレーしてきたが、企業をバックにもつわけではなく、「上」を目指すことはできなかった。大きな変化が訪れたのは2004年。Jリーグ昇格を目指して地域の有志がNPO法人「アルウィン・スポーツ・プロジェクト」を発足させ、松本山雅の強化に乗り出したのだ。現在では、吉澤英生監督の下、選手の半数近くを元Jリーガーで占め、大学卒の新人補強も積極的に行っている。そして昨年末には念願のJFL昇格も果たした。
そもそも「アルウィン」は2002年ワールドカップ日韓大会のキャンプ地の候補として建設されたもの。ワールドカップ時にはパラグアイの拠点となった。そのスタジアムを中心に、「Jリーグのクラブをもちたい」という地域の機運が高まり、スポンサーも集まって強化が加速したのだ。クラブはすでに小学生から高校生までの「育成組織」をもっており、将来的にはサッカーだけでなく、地域福祉も含めた「総合型スポーツクラブ」を目指しているという。日本のスポーツの「新しい波」を象徴する運動と言えるのではないだろうか。
大住 良之